急速に変化する世界で、STEM人材の需要はかつてないほど高まっています。この需要を後押ししている原因は何なのでしょうか? デジタル化、脱炭素化、ヘルスケア、人口動態の変化、新しいワーキングモデルは、ライフサイエンス、テクノロジー、エンジニアリングを学び、トレーニングを受けている人材や、これらの分野のスキルを持つ人材の大きなチャンスにつながっています。
ベビーブーマー世代が退職し、彼らのスキルと経験を利用できなくなるといった人口動態の変化と同時に、この5つのグローバルメガトレンドは勢いを増し、需要の高いスペシャリストを引き寄せています。
このようなトレンドはなぜそれほど重要なのでしょうか。そして、私たちの世界にどのような影響をもたらしているのでしょうか?
デジタル化
デジタル化はコロナ禍で加速し、企業の持続可能性とレジリエンスの向上を実現させています。企業はより無駄のない働き方を採用し、ソフトウェア主導の生産活動によって、さらなるイノベーションとコスト効率を実現しています。
デジタル変革への直接投資は2024年までに6兆3000億ドルに達すると予想されており、この投資率は加速しています。変化する顧客ニーズ、技術の複雑化、人工知能や機械学習といった革新的なデジタル技術の増加などが進み、専門的なテクノロジースキルの需要が爆発的に高まっています。2025年までに1億4900万人のデジタル職が新たに必要になると予測されています。
脱炭素化
2050年までにネットゼロを達成するには、世界のエネルギーシステムを完全に変革する必要があります。革新的なテクノロジーを開発し、エンジニアリングスキルを育成して、広範に普及、導入させなければ達成できません。2030年までの炭素排出量削減の大半は、既存の技術で実現するでしょう。しかし2050年に炭素削減の半分近くを実現させるには、現在実証中のテクノロジーやプロトタイプの段階にあるテクノロジーを実用化させなければなりません。
次の10年間で大規模なクリーンエネルギーのイノベーションに取り組み、これらの新しいテクノロジーを適切なタイミングで市場に送り込む必要があります。国際エネルギー機関(IEA)によると、2030年までに世界のエネルギー供給分野で1400万人の新規雇用が生まれます。効率が向上した家電製品、電気自動車や燃料電池車、建物の改修やエネルギー効率の高い建築など、クリーンエネルギーの最終用途の分野においても1600万人の雇用が生み出されます。
ヘルスケア
コロナ禍は、ライフサイエンス分野の進化を著しく加速させる大きな変化と発展をもたらしました。
未来におけるヘルスケアの優先課題に対処するためのソリューションと知識を適切な時期に培っておくことこそ、このメガトレンドの核心です。私たちは、疾患の蔓延に対抗するための前例のない世界的な取り組みとともに、人工知能やデータの開発、進展を目の当たりにしてきました。そして、世界はヘルスケア業界が持つ力とともに、コミットメントと投資があれば、どれほど大きく飛躍できるかを目にしてきました。
ライフサイエンス分野では、品質保証、臨床業務、薬事、その他の医療スペシャリストなどの職務を担うことのできる高度なスキルを持つ人材が継続的に求められています。
新しいワーキングモデル
近年の技術的な進歩が原動力となり、多くの人は従来のような9時~5時のワーキングモデルに縛られなくなりました。仕事の未来は変化しており、チャンスは無限に広がっています。マッキンゼーによると、米国の労働者の3分の1以上がインディペンデントワーカーであるとされています。セリディアンの調査に回答したグローバルな経営者の62%は、今後5年以内にフリーランスがフルタイムの従業員に大きく取って代わると考えています。
柔軟性が拡大する動きは、パンデミックが発生して以来、仕事の世界を一変させてきた他の変化と軌を同じくするトレンドです。このような傾向は、当社独自の経験とも合致します。当社が紹介する候補者は、転職を検討する際に最も重要な基準の一つとして柔軟な働き方を挙げています。
人口動態の変化
2030年までに14億人、つまり世界で6人に1人が60歳以上になり、2050年にはこの数字が20億人以上に達すると予想されています。世界的に生産年齢人口が減少する一方で、定年退職者数は相対的に拡大しており、あらゆる分野で深刻な労働力不足につながっています。さらに、既存のSTEM人材が引退し、STEM職に就く若者が不足していることも、この問題に拍車をかけています。
人口動態の変化は、生産性を向上させるための研究開発や自動化技術のさらなる活用を促進する原動力の一つとなっています。これは特にSTEM分野で、高いスキルを持つ人材の需要の高まりと賃金の上昇につながっています。職場復帰を考えなければならないかもしれない高年齢の労働者は、若手より高い給与を期待する傾向があり、この点は企業にとって課題となる可能性があります。
未来を切り開く
これら5つのグローバルメガトレンドによって、ライフサイエンス、テクノロジー、エンジニアリングのスペシャリスト人材の需要が急速に高まっています。このようなプロフェッショナルのスキルと専門知識に依存する企業には課題が生じ、これらの分野で働く人材には大きなチャンスが生まれます。こうした環境下で企業が取るべき対策について、詳しくは当社の記事、企業はグローバルなメガトレンドをいかに活用できるかをご覧ください。
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