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バイアスを打破:STEM分野で女性のエンパワメントを推進するには

国際女性デーには、STEM業界への女性のさらなる進出を実現するためのさらなる取り組みが呼びかけられています。

Break the bias: how we can empower more women in STEM

非営利団体である Women in Tech の創設者は、若い女性がSTEM分野の資格取得やキャリアを検討するようになるには、STEM分野の女性の知名度を上げ、男性にその価値を啓蒙するさらに多く取り組みの実施を呼びかけています。

これは、STEM分野で働く女性が増えれば、この分野が「ソフトサイエンス」であるという認識が高まるという新しい報告書がきっかけでした。その報告書1 は、米国在住の学術研究者によるもので、このように認識された被験者は、厳密さや信頼性に欠け、資金援助を受けるに値しないと見なされ、人々から軽んじられるという懸念を浮き彫りにしています。

女性の能力向上とSTEM分野における男女格差の是正を目指す、このグローバルな非営利団体の創設者、アユミ・ムーア・アオキ氏は、女性に対する偏見には対抗しなければならないが、まず女性の参加レベルを向上させることが重要である述べています。

彼女は「個人的には、女性が強く存在感を示すSTEM分野が「低く評価された」経験はないものの、国連や世界経済フォーラムの統計によると、STEM分野の女性の割合は世界的に見ても依然として低く、その分野で働く女性の平均的な割合は20%未満であることは認識しています」と述べています。

広がる格差

さらに彼女は「懸念すべきことですが、過去40年間で技術分野の男女格差は拡大しました。70年代や80年代は、技術分野の仕事に携わる女性の割合は多かったものです。コンピュータサイエンスが経済的に重要でパワフルになるにつれ、より多くの男性を惹きつけ、女性がますます疎外されるようになりました」と強調しています。

STEM分野における女性の割合が少なくなる主な要因は、「パイプラインの漏れ(Leaky pipeline)」と言われる、STEM分野で活躍を期待される女性が研究職やキャリアから次第に「離れていく」現象です。

たとえば、米国では 若い女性の約74% がコンピュータサイエンスやSTEM分野に興味を示していますが、女性が占める割合はコンピュータサイエンスの学位においては18%、コンピュータ関連の仕事では26%に留まっています。アオキ氏は、UAEではSTEM分野の卒業生の47%が女性ですが、STEM分野の仕事に就くのはわずか15%であることを指摘しています。

STEM発展につながる女性のエンパワメント

彼女は「若い女子学生たちが、STEM分野における資格やキャリアを、自分たちが追求できる、また追求すべきものとして積極的に考慮できるよう教育にもっと力を入れなければなりません。特にSTEM分野において役員や上級管理職として成功している女性の知名度を上げ、ロールモデルとして機能させる必要があるのです。また、これらの分野で働く女性がもたらす価値について、男性を教育することも考える必要があります」と述べています。

科学・技術界をリードする9人の女性 >

「エンパワメントプロセスは、トップダウンで始めるべきだと思います。私は、オランダに本社を置くAutoFill Technologiesのの顧問を務めており、同社が従業員に平等な参加機会を提供するという目標を達成できるよう支援しています。多様性をより積極的に追求するため、現在は、特にITおよびエンジニア職への女性の採用に力を入れています。

STEM企業は、女性の参画により、さまざまな経験や視点、そしてまぎれもなく高い共感力を得ることができるため、研究やイノベーション、技術開発の恩恵をより多くの人々に届けることができるようになるでしょう」と述べるアオキ氏。

また今後、私たちの生活の中でAIが大きな役割を果たすことになるため、未来を形作るデータやアルゴリズムに不用意にジェンダーバイアスが組み込まれないよう、女性がその開発の基本的なレベルで関わる必要があると、彼女は主張しています。

「2030年までSTEM分野の仕事の85%は存在しなくなるというInstitute for the Futureの予測を念頭に、これは抜本から積極的に行動を起こす機会を迎えています」と彼女は締めくくりました。

ジェンダーの偏見

研究者の一人、科学大学心理学助教授のアリソン・ライト氏は、この報告書の結果は、女性の収入力を上げ、性差別的な固定観念を払拭するために、より多くの女性にSTEM分野の教育とキャリアを求める現在進行中の取り組みがうまくいっていない可能性を示唆していると述べています。

この研究を取り上げた記事の中で、ある分野の大学院生に占める女性の割合が25%を超えると、男性と女性両方の当該分野への関心が薄れ、給与が下がる傾向があると指摘しています。

彼女は「社会が広範な科学分野から十分な利益を得るためには、(科学の)擁護者はジェンダーの固定観念に直接的に取り組む必要があるかもしれません」と述べています。

人材不足への対応

STEM分野での女性の割合を増やすことは、拡大するスキル不足を埋めるために必要不可欠です。技術系の大手企業Huaweiによると、世界では2億人のICT人材が不足しており、最も充足が困難な職種トップ10はSTEM職であるとしています。たとえば英国では、STEMスキル不足により年間15億ポンドの損失が見込まれており、米国では2025年までに350万人のSTEM職を必要とするにも関わらず、適切なスキルを持つ求職者がいないため200万人以上の不足が生じると予想されています。

つまり、世界的な人材不足に対処するためには、ハードかソフトかに関わらず、より多くの女性がSTEM分野に参加し、男性と同等に働くよう奨励することが必要であることは明確な事実です。

1.Gender representation cues labels of hard and soft sciences:アリソン・E・ライト、テッサ・M・ベンソン・グリーンワルド、アマンダ・B・ディークマン共著。Journal of Experimental Social Psychology, January 2022

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